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1.黄金分割とは

「黄金分割」「黄金比率」という言葉をお聞きになったことがあると思います。アクアジャーナルの記事等にも時々登場しています
よね。下の図をご覧下さい。線分ABを点Pで分割する場合、APの長さをa、PBの長さをbとすると、a : b = b : ( a + b )の関係が
成り立つ比率を黄金分割(黄金比率)といい、その比率は1.618・・・となります。

この1:1.618という比率はそのバランスの美しさで、何世紀にもわたり人々の美的感覚を魅了してきました。
エジプトのクフ王のピラミッドやギリシャのパルテノン神殿にも黄金比率が見られ、様々な分野で取り入れられています。
身近なものでは、タバコの箱の縦横比や名刺の縦横比などがあります。また、建築や絵画などデザインの世界でも多用されて
います。

[参 考]
黄金比率は次のように求められます。
まず、正方形ABCDを書きます。次に、その一辺CDの中点EからBまでを直線で結び、これを半径とした弧を書きます。
この弧と辺CDの延長線との交点をFとすると、正方形の一辺CDとDFとの比率が黄金分割比率となるそうです。
(そういうものらしいです)

正方形の一辺BCの長さをPとすると、BEの長さは、BCとCEの長さから、
ピタゴラスの定理により、ですから、
となります。

BEとEFの長さは等しく、DEはCD(=BC)の半分ですから、DFの長さは、

BEの長さとBCの長さの半分との合計ということになります。
つまり  です。

したがって、DFの長さは、 と表され、これを計算すると  となり、
 が導き出されます。 通常は1.618が使われるようです。

2.配石の検討

では今回の配石でも、この黄金分割を利用して配石の検証をしてみようと思います。
下図をご覧下さい。これは採用した配石プランをベースに黄金分割の手法を使って水槽のサイズを割り出し石の配置を検討
したものです。

四角形abfeと四角形bdhfは、それぞれ
縦横比を1:1.618としてあります。横の長さ
は60センチと決めていますので、この比率に
基づき奥行きを計算すると大体27センチと
なります。

石の配置をみてみると、親石の一群は四角形
bdhfの辺bdを黄金比率で分割する点cから
垂直におろした線上に位置しています。

また、左の方の石C、Dも四角形acgeの辺acを
黄金比率で分割する点bから垂直におろした
線上付近に位置しています。

他の石(石A、B、E)も黄金比率で作られた
四角形の対角線上に位置しており、これらのこと
から、見た目のすわりが良く映るのではないかと
思われます(強引な展開???)。

以上のように、レイアウトを作るときには、黄金分割を意識しながら各素材を配置すると、ある程度自動的に美しい構図が
生まれてくるのではないでしょうか。

左の図をご覧下さい。これは龍安寺(りょうあんじ)方丈庭園を
簡単に模式化したものです。
この庭園は枯山水で、室町時代末期頃の作といわれています。
枯山水とは、自然風景を岩組を主として表現した庭園の形式
です。また、方丈とは、禅宗寺院の塔頭(たっちゅう:本寺の境内
にある小寺)の中心的建築のことです。

龍安寺方丈庭園は塀で囲まれた砂の上にいくつかの石が置かれ
ただけの庭ですが、ここでも黄金分割が見い出せるようです。

方丈から見て、右側に縦横比1:1.618の長方形(黄色)を作り、その対角線を引くと5組の石組のうち、3組がその線上に位置
します(A・B・C)。また、左の長方形(緑色)も縦横比が黄金比率となっており、この長方形でも対角線を引いてみると、残りの
2組のうちの1組の石組(D)がその線上に位置します。
最後に、大きな長方形(緑色+黄色)の対角線を引くと、残ったEの岩組がその線上にきます。

このように、黄金分割の手法は古くから造園の手法として活用されており、水景創りにも応用が効くレイアウトを考えるうえで非常
に効果的な手法であると思います。ちなみにこの庭園には、黄金分割の手法以外にパースペクティブの手法なども、巧みに取り
入れられているようです。

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